12月教会長さん【12月の教会長メッセージ】
先月は開祖さま生誕会があり、御本尊勧請70年の大きな節目に精一杯の感謝をあらわせたと思います。地域では神戸マラソンが行われ、横断幕で応援させて頂きました。佼成会では年度変りの月でした。
今月は年度の終わりということで、一年の精進を見つめ、来年度への月渡しをする大事な月で、心の成長に目を向け【第二の矢を受けない】ようにご指導いただいています。


仏教学者の原坦山師は、川を渡れずに困っている若い女性を背負って渡り、何事もなかったように歩き始めると、仲間の雲水から「出家の身でありながら女性と接するなど君は恥ずかしくないのか」と言われました。「君はまだあの娘を抱えていたのか。私はあの川原にすっかりおろしてきたよ」とさらりと告げた逸話を例に、慈悲のぬくもりとともに、一事に『とらわれない』大切さを教えて下さいました。執着と慈悲の見方は表裏一体ですね。先月学んだ『軽んじない』に相通じるものを感じます。

そして、喜怒哀楽さまざまな感情を抱くことは、人間として当たり前のことで、そうした感情は「第一の矢」といいます。私たちは、好ましいものには「もっと」「ずっと」と望む執着、嫌なものは避けて、自己中心の見方で悩みを深めます。最初に抱いた感情にとらわれないことが「第二の矢」を受けないことです。そのために「心をコントロールする」必要があります。

では、どうしたらいいのか?難しい事ですが①わき起こった情意をそのつど、その場に「おろして」いく。②大変な痛苦を味わい、懲りて注意深くなる。改善に努める。(懲りることは、仏さまからのお諭しであり、心の成長につながるステップです。)

禅の世界では「二念を継がない」という言葉があります。これは、目の前で起こったことを、ありのままにとらえることで『一念(最初に湧いてきた思考)』の後に『二念(自分の主観的な意見や解釈)』をつけない、という内容です。会長先生は煩悩がわいて、心に浮かんだ思いを妄想でふくらませないことを教えて下さいました。一つひとつ立ち止まって自分の心を確認する必要があります。心をうまくコントロールできるよう、目的をもって精進の糧にしましょう。思えば、私は現象面でとらえることが多かったですが、精神面(心)に向けての本質的な救われ方を学ばせて頂きました。   合掌