一般的に道場といえば、剣道・柔道のけいこ場を連想しますが、本来はお釈迦さまが悟りを開かれた場所(ブッダガヤの菩提樹の下の金剛宝座)のことをいいました。『無量義経』の「譬諭品」に「此の宝乗に乗じて、直に道場に至らしむ」とありますが、「この立派な乗り物に乗せてブッダガヤの菩提樹のもとへ到着させる」という意味です。やがて道場という言葉は、ブッダガヤだけでなく「悟りを得る所」という意味になりました。特別な建物などなくても、職場も家庭も街頭も、仏道を修める気持ちをもっていさえすれば、そこが道場なのです。

佼成出版社「The Yakushin」1993年2月号・法華経日常語辞典より