Aさんは震災後大阪へ引越したのを機に、やっと夫婦一緒の生活に戻る事が出来ました。それまでの長い間、ご主人は別の女性の家で暮らしていたそうです。

Aさん夫婦は、ご主人の弟さんの息子を引き取って育てられました。まだ幼かった息子を残して奥さんが家を出てしまい、元来情の厚いAさんは、自分達に子供がいなかった事もあり、引き取って育てたのです。ご主人が家を出ていた期間、Aさんは寂しさや腹立たしさ、沢山の苦労もありましたが、息子さんがいたからこそ、頑張る事が出来たのだと思います。働きながら夜間高校を卒業した息子さんでしたが、やがて家を出て寄りつかなくなりました。

私は15年前にお役を通してAさん夫婦とご縁を頂きました。その頃Aさんは肺ガンを患って治療中でした。ケンカの絶えない夫婦双方の話しに耳を傾けながら、なんとかAさんに健康になって頂きたい、夫婦仲良く幸せになってほしいと願い、西宮から遠いAさん宅へ度々足を運んでは、学んだ事ををお分けしたり、先祖供養、水子供養をさせて頂きました。

その後、Aさんの病状は落ち着いたものの、徐々に歩くことが困難になり、コロナ禍でさらに外出できなくなりました。この頃からご主人の献身的な介護が始まりました。若い時にご主人と一緒にいたくても叶わなかったAさんにとって、離れていた時間を取り戻すかのように二人だけの時間が流れていきました。(K 女性)

(②へつづく)