6月の教会長さん『鏡の法則』という今ベストセラーになっている本を読ませていただきました。ある主婦の方のお話で、その方の小学校5年生になる息子さんが学校でいじめられているという。お母さんとしてはとてもショックなことではあるけれど、ここで、ご主人からある方を紹介される。その方と電話で話して、


考えられる原因は、お母さん自身が「大切にする必要がある人を、責めてしまっている」ということです、と言われ、自分のお父さんを許せないと思っていたことに気づく。そして自分のお父さんに電話して、お父さんのご苦労に感謝すると共にそれまでの自分が父親に反発していたことを懺悔していくという展開になっていくわけですが、ここのところで私も思わず涙が出てしまいました。実際にこの主婦の方そしてそのお父さんも共に涙を流して、これまでのわだかまりを洗い流していきます。ある意味では、仏教の因縁果報の教えを見事に現実の問題に当てはめていっているとも言えると思います。著者はこれを「鏡の法則」と言っているわけですが、こういう本がベストセラーになっていることにも驚かされました。
 今月の『佼成』ご法話で会長先生は「歩く早さで考えよう」と題し、「成功とか失敗ということは人間の尺度によるのであって、すべてを生かす絶対の世界では成功も失敗もないのです。むしろ失敗を糧となすような柔軟な心になること、たとえ失敗してもおおらかに受け止められ、その経験を成功のバネに転換できるのです」と教えて下さっています。
 『鏡の法則』に出てくるお母さんも、息子さんへのいじめというマイナスの現象を通して、自分のお父さんを責めていたことに気づき、懺悔できたわけで、最後には「この子に導かれたのかもしれない」とむしろそこのことに感謝しています。
 今月は、表面的な成功とか失敗という人間の尺度にとらわれるのではなく、その現象を通して仏様は何を教えていただいているのかをしっかりと受け止め、決意したことを実践していくよう心がけさせていただきましょう。  合掌